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Channel: 帝國ノ犬達
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戦後70年、犬の戦時資料とか

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戦後70年目の夏を前に、戦時中の畜犬史を調べている人もいらっしゃる筈。
歴史批評をする前に、まずは話を整理しましょう。これらを混同したため頭が混乱している人をよく見かけますので。

様々な記録を比較して「戦時中はイロイロな事情があったんだねえ」という話をすればよいのに、戦時批判や歴史美化のためオノレに都合の悪い資料を無視して「戦時中は〇〇だった!」と単純化したがる人の多いこと。
その前に、下の三つくらいは区別しろと。

【戦前の狂犬病対策(自治体)】
野犬と不要ペット→警察署→化成所→製革業者→集荷小売業者→三味線・太鼓の材料


【ペットの毛皮供出(商工省・地方自治体)】
民間のペット→警察署→化成所→製革業者→集荷小売業者→皮革統制会社→日本軍

戦争が始まると、軍需原皮が大量に必要となりました。そこで、商工省は皮革統制(民間の皮革資源を国の管理下へ置くこと)を始めます。
駆除された野犬の毛皮も統制対象となりますが、軍事用の毛皮が不足した戦争末期には市民のペットまで毛皮として供出させられました。
警察による狂犬病対策の野犬駆除は戦時中も続けられており、その駆除システムをペット供出に利用したのです。
商工省(後の軍需省)の方針は全国の地方長官(現在の県知事)へ通達され、各市町村の警察署が野犬駆除業者へ委託のうえ実施されました。

【軍用犬の出征(日本軍)】
民間のペット(売却)→帝国軍用犬協会の軍犬購買会(売買仲介)←日本陸軍(購入)

日本軍は多数の軍犬を配備していましたが、その大部分は民間人から購入したシェパードやドーベルマンでした。犬を繁殖するための予算や人手が無かった日本軍は、訓練済みの民間シェパードを購入することで大量調達を可能としていたのです。
市民が訓練したシェパードを、日本軍がお金を払って購入する場が日本全国で開催されていた軍犬購買会。犬を売りたい飼主と、犬を買いたい日本軍が、帝国軍用犬協会の仲介によって軍用適種犬を売買していたのです。モチロン、両方が合意したペットの売買であり、強奪ではありません。

いちいち解説するのも面倒くさいので、戦時の記事を集めてみました。
当時の犬界事情は、それぞれ下記のURLをご参照ください。
だからイロイロあったんだってば。

銃後の犬
http://ameblo.jp/wa500/theme-10048883075.html

戦地の犬
http://ameblo.jp/wa500/theme-10012756764.html

民間のシェパードが日本軍へ配備されるまでの流れはこちら。
http://ameblo.jp/wa500/entry-10646681922.html

公的機関である日本軍が民間の犬を購入する場合、正式な購入文書を発行します。
犬に関する文書類はこちら。
http://ameblo.jp/wa500/theme-10050027377.html

犬に赤紙が来た!とか言う人もいますが、「犬の赤紙」って何なんですかね?というお話。
http://ameblo.jp/wa500/entry-11024461795.html

戦前~敗戦までの犬の日本史はこんな感じ(戦中編を参照)
http://ameblo.jp/wa500/entry-11999209324.html

戦前・戦中は保健所ではなく警察署がペットの飼育登録、野犬駆除、狂犬病対策を行っていました。
その辺の記録は犬に関する法律をどうぞ
http://ameblo.jp/wa500/theme-10085155403.html

何で保健所ではなく警察署だったのかというと、明治に始まった狂犬病対策には警察力が必要だったからです。
大正時代には厚生省と内務省(現在の警察庁)の間で、畜犬取締の担当を巡る対立もありました。
日本の狂犬病史
http://ameblo.jp/wa500/theme-10059867662.html


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