生れた時から現在まで、何頭もの犬達を飼ってきました。
フク、コタロー、タエ母仔、クロ、ハヤ、太朗丸、ラリー、シロといった愛犬達の中で、唯一「謎の犬」が存在します。
幼い頃の記憶にある、垂れ耳で斑模様の犬。
毎日のように犬小屋の前で遊んでいた筈なのですが、両親とも「そんな犬は飼ったことがない」「近所にも白いスピッツしかいなかった」と断言します。一体アレは何だったんだろう?
まあ、他の何かと混同しているのでしょう。子供の記憶力などアテになりませんからね。
◆
先日のこと。
外回りから帰社したところ「幼稚園の先生から電話がありました」との連絡メモがデスクに置いてありました。
ウチのお客様に幼稚園などあったかいな?とメモに記された番号へかけてみたところ、電話に出たのはまさしく幼稚園の先生でした。私が幼稚園児だった頃の。
いやあ懐かしい、30何年振りでしょうか。ところで何の御用ですかとお聞きしたら
私の母に小包を送ったところ、不在で返却されたと。電話にも出ないので心配になり、以前伝え聞いていた私の勤め先へ連絡したのだと。
そういえば両親とも海外旅行へ行くとか言ってたな。「来週には帰宅するでしょう」と話したら安心されたようで、あとは近況などを語り合いました。
しかし、当時は若かった先生も還暦を過ぎて、幼稚園児だった私もオッサンと化しております。
共通の話題といえば幼稚園時代の思い出しかありません。思い出話を語る中で、記憶から抹消していた黒歴史が蘇えったりする訳です。
「アナタは手がかかる子でね。苦労した分よく覚えてるわ」
そうでしたっけ?
「幼稚園が嫌いで、家に帰りたいって毎日泣き叫んでねえ」
はあ。
「園のお泊り会の時なんか行方不明になって。家に電話したら勝手に帰宅していたり」
すみません。
「ダンゴムシをたくさん取ってきて、教室の床にばら撒いたり」
申し訳ございません。
「サメになりたいとか言って、水溜りに浸かってたり」
もう勘弁してください。
「いつも近所の庭に忍び込んでね」
マジっすか。
「そこの番犬と遊んでたり」
え?
それって垂れ耳で、斑模様の犬でしたか?
「よく覚えてないけど、謝りに行ったら玄関先で吠えられてねえ。アナタ達が咬まれなくてよかったわ」
……その犬だったのか。
長年の謎が解けました。
犬のことは覚えてますよ。ご迷惑おかけいたしました。
「アナタ、あの頃から犬が好きだったもんねえ」
はい。
「私があげた犬も飼ってたでしょ」
は?
「ハヤは私の家で生れた子だよ。親犬の子孫はまだ飼ってるし」
ええええええええええええええええええええ?
そういえば母親がどこからかハヤを貰って来たんだよな。先生のところだったのか。
ひとしきり話した後、ではお元気でと受話器を置いたのですが、何だかイロイロな記憶が繋がった一日でした。
「ベルカ、吠えないのか」みたいな地球規模じゃなくても、狭い世界での犬のネットワークみたいなものはあるんですねえ。
そんだけの話です。
フク、コタロー、タエ母仔、クロ、ハヤ、太朗丸、ラリー、シロといった愛犬達の中で、唯一「謎の犬」が存在します。
幼い頃の記憶にある、垂れ耳で斑模様の犬。
毎日のように犬小屋の前で遊んでいた筈なのですが、両親とも「そんな犬は飼ったことがない」「近所にも白いスピッツしかいなかった」と断言します。一体アレは何だったんだろう?
まあ、他の何かと混同しているのでしょう。子供の記憶力などアテになりませんからね。
◆
先日のこと。
外回りから帰社したところ「幼稚園の先生から電話がありました」との連絡メモがデスクに置いてありました。
ウチのお客様に幼稚園などあったかいな?とメモに記された番号へかけてみたところ、電話に出たのはまさしく幼稚園の先生でした。私が幼稚園児だった頃の。
いやあ懐かしい、30何年振りでしょうか。ところで何の御用ですかとお聞きしたら
私の母に小包を送ったところ、不在で返却されたと。電話にも出ないので心配になり、以前伝え聞いていた私の勤め先へ連絡したのだと。
そういえば両親とも海外旅行へ行くとか言ってたな。「来週には帰宅するでしょう」と話したら安心されたようで、あとは近況などを語り合いました。
しかし、当時は若かった先生も還暦を過ぎて、幼稚園児だった私もオッサンと化しております。
共通の話題といえば幼稚園時代の思い出しかありません。思い出話を語る中で、記憶から抹消していた黒歴史が蘇えったりする訳です。
「アナタは手がかかる子でね。苦労した分よく覚えてるわ」
そうでしたっけ?
「幼稚園が嫌いで、家に帰りたいって毎日泣き叫んでねえ」
はあ。
「園のお泊り会の時なんか行方不明になって。家に電話したら勝手に帰宅していたり」
すみません。
「ダンゴムシをたくさん取ってきて、教室の床にばら撒いたり」
申し訳ございません。
「サメになりたいとか言って、水溜りに浸かってたり」
もう勘弁してください。
「いつも近所の庭に忍び込んでね」
マジっすか。
「そこの番犬と遊んでたり」
え?
それって垂れ耳で、斑模様の犬でしたか?
「よく覚えてないけど、謝りに行ったら玄関先で吠えられてねえ。アナタ達が咬まれなくてよかったわ」
……その犬だったのか。
長年の謎が解けました。
犬のことは覚えてますよ。ご迷惑おかけいたしました。
「アナタ、あの頃から犬が好きだったもんねえ」
はい。
「私があげた犬も飼ってたでしょ」
は?
「ハヤは私の家で生れた子だよ。親犬の子孫はまだ飼ってるし」
ええええええええええええええええええええ?
そういえば母親がどこからかハヤを貰って来たんだよな。先生のところだったのか。
ひとしきり話した後、ではお元気でと受話器を置いたのですが、何だかイロイロな記憶が繋がった一日でした。
「ベルカ、吠えないのか」みたいな地球規模じゃなくても、狭い世界での犬のネットワークみたいなものはあるんですねえ。
そんだけの話です。