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Channel: 帝國ノ犬達
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南京 中国軍特種通信隊 昭和8年

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一昨日、會報を受取りました。平日、方方へ出歩いて、杭州や上海で、とろ〃してゝ、とんだ浦島太郎です。
上海で犬の本を澤山(四五冊のみ)求めてきました。
雪のふる日の居室にて目をとほしてをります。中根氏(※日本シェパード倶楽部の中根榮理事)の本を求めてきました。五月色をした小型の本。きつといゝ本だと思ひます。

今年はいろ〃と面白い仕事があるので、イキごんでをります。上海へはおひまの節、御越し下さい。
小生は休暇をしても、上海へお伺ひいたします。
南京から上海までは僅に九時間(夜汽車を利用して土曜から日曜へかけてもよし)で、日本の汽車でしたら、五六時間の里程でせう。
是非ともいらつしつて、程氏(※デニス・チェンこと程貽澤氏。戦前に有名だった上海のシェパード・ブリーダーです)その他の連中とおはなしになつて下さい。

東京へは是非とも行きたいと思ひ乍らも、仕事の関係上當分はだめでせう。
むさし野の冬枯れした風景はいゝことと存じます。経堂へは自動車学校や、呉といふ人を訪問した時に行きました。

来週辺り杭州へ行きます。公用を利用して、テンペラを描きに行きます。
クリスマス頃の上海へも踊りに行きたいものですが、こちらは正式の休暇がないので、不可能でせう。
中根さんにお合ひの節よろしく御鳳声下さい。

私の隊の軍犬班も、近々開始されました。とても玉石混交で、おはなしになりませんから、不悪。
貴方の文藝春秋の犬の文学を拝見いたしました。
康蔵或の犬の消息は、その後四川の内乱でさつぱり友人が知らしてくれません。
ロシヤの突撃犬も、もう少し詳細に知りたいと思ひますが、「攻撃する犬」はもつと早くから現はれるべきです。

中華民国軍南京特種通信隊長 黄瀛 「N大人へ」より 昭和8年

中国国民党軍の軍用犬部隊といえば、「日本と敵対関係にあった」と勘違いしている人が多い筈。
実際は、満洲事変以降も指揮官クラスが日本の愛犬団体と親交を結んでいました。「N大人」とは日本シェパード倶楽部の中島理事のことですし。
日中関係は非常に複雑で、盧溝橋事件の前年までは両軍の軍用犬関係者が交流会まで開催しています。
部隊長の黄瀛自身が中国人の父と日本人の母をもち、日本へ留学していた人物。我が国でも詩人として有名な彼には、日本人の友人も多かったのです。
この友好関係も、昭和12年の日中軍事衝突により崩壊しました。
そして中国軍は黄瀛を漢奸として迫害、南京へ侵攻した日本軍は彼の育てた軍用犬部隊を壊滅させます。




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