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Channel: 帝國ノ犬達
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狩猟家への苦言 大正14年

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本文は私の畏敬するYI氏の令閨が日誌の一片を摘録したもので、狩猟家が婦人の眼界に如何に映じ且つ解釋されて居るか、其處に何等かの暗示と自省を求むべくものがありはせぬか、兎に角狩猟家に對する本文は亦興味あるものであらねばならぬ。
甲猟生

犬

猟の外は散歩にさへ滅多に召し連れず、常に邪魔者に扱ひて愛撫し給はぬ猟犬も、銃の手入れの始まる頃より豹変、掌を返し、頭を撫で背をさすり、またなきものゝごとく振舞ふあさましき人の心も、犬なればこその忠勤。
「君、君たらずと雖も臣、臣たらざるべからず」
古武士の精神にも似て主人の無慈悲もさのみ恨みもなく、犠牲となりて立働くさまのいと可憐にこそ。

恁る主人にかぎりえて猟の友の集へる席などにては、恰も我が子の如く、又家重代の寶物にも比して己れの犬を誉め称たへる様は、心ある人をして眉を顰めしめ、床下にくすぼれる犬も人語を解すれば定めて苦笑するとこそ思はる。

犬

いざ出猟の時に當りては世間の手前、妻の前、華々しき猟装に勇ましくも立ち出て給ふなれど、猟場の狩はお門違ひの白首を旅寝の宿に打ちとり、八百屋の店先に馳せ付けて銀弾の鳥を撃ち(※不猟を誤魔化そうと、店で鳥を購入する行為への揶揄です)、漫畫や笑話の材料をまきながら何くわぬ顔して宅に帰り、白ら〃しく猟場の手柄話に我れも人も共に煙に巻く圖々しさを照魔鏡の前に立たせ見たし。

犬

まして憎くきは狩猟道徳とやら。
武士道精神とやら人一倍に口にしながら、雉の猟期も早や過ぎて産卵期となれる頃にも物の哀れさへ知らぬ似非武士共、情け容赦もなく雌鳥を撃ちとる輩も尠なからずとか。「花にも心あるものを」
來る秋ともなれば軈ては六七羽の子雉さへ増へるに、己が私欲を恣まゝにして、口さきばかりの狩猟道徳を振舞す、さても〃笑止なりけり。

とめ子女史「婦人から見た狩猟家の半面」より

犬
漫画は昭和2年のものですが、進歩は見られませんね。





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