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Channel: 帝國ノ犬達
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島根の柴犬

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筆者はよく関西、殊に中國地方に旅行をし、又展覧會にも屢々立會つたけれど、同地方で度々實に優秀な柴犬を見て居る。

其産地は大概島根縣である。

然し島根と云ふても石州であるとの事で、血液上から言ふても至純至粋のものが珍しくない。

現代の日本犬は柴犬に限らず、凡てを通じて、純粋のものは極めて少なく、殊に一尺八寸以上の犬には、殆んど純粋は皆無と云ふても差支へない現状である。島根に純粋が居たのは恐らく交通不便の賜であつたと思ふ。

而して一般に云ふ柴犬よりは、少し大きいのが多い。體型は細型と又骨の太いのと二手ある。

毛色は一枚毛は少く、狸猟等には薄赤即ちクリーム色のが闘志に富むと言はれて居る。

其他差尾のものが少いとか、顔面精悍の気に充ちたもので柴犬としては一番人気を博するものである。

然し島根の柴犬は中型を矮化した、特殊のもので無いかと思はれるのである。

原始犬と矮化のものと何れがよいかと云ふ事になると、筆者は犬種の出發點は何んでも差支へないと思ふ。

要するに柴犬に對する我々の要求は、小型で見て感じのよいもので、日本犬としての性能を持つて居ればよいのである。筆者は島根の柴犬の飛躍を望んで止まないものである。

以上述べた以外にも、柴犬は各地に居る。秩父、甲州、三河、越中其他にも散在するが、数が少なく、且つ大同小異なので省略することゝする。

高久兵四郎「日本犬観察」より 昭和13年


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