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Channel: 帝國ノ犬達
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帝国軍用犬協会vs.日本シェパード犬研究会(不発)

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戦時中における帝國軍用犬協會(KV)の横暴は、日本シェパード倶楽部(NSC)の強制合併、日本シェパード犬協会(JSV)との対立などを生み出し、戦時中の恨みつらみによって戦後犬界の統合にも悪影響を与えました。

で、その狭間における日本シェパード犬研究会(NSK)はどうだったのかといいますと、バカにされても批判されても、「ウチは業界の片隅で細々とやらせてもらいます」と臥薪嘗胆に徹しております。発足して間もない弱小団体がうっかり反撃しようものなら、NSCのように叩き潰されるだけですからね。

中には脊髄反射してしまう血の気の多い人もいて、抑える側もなかなか大変だった様です。

 

「中島基熊氏より正々堂々と同氏の名によつて、ドツグ掲載の吾が研究會同人等の個人的攻撃の一文に對して一書を寄せて來られましたが、編輯部に置きまして中島氏には、甚だ失禮と存じましたが削除致しました。

吾が研究會には井戸端會議の悪口に耳を向ける程低級な方もありませんから、同氏の一書の必要を感じません。何卒悪しからず。尚雑誌の貴い一頁一行でも不純な事件で汚したくありません」

日本シェパード犬研究會編輯部 昭和8年

 

旧メンバーを再結集して体力を蓄えたNSKは突如として社団法人化。国際畜犬団体日本シェパード犬協会として復活を遂げます。帝国軍用犬協会が慌てた時には既に遅しで、皇族出身の筑波藤麿会長には陸軍の威光も通用せず、拮抗する勢力を封じ込めることは不可能となっていました。

 

で、KVはJSVに対しても「ドイツ盲拝の非国民」などと懲りもせずに批判をやらかしております。

今度は中島氏も黙っておらず「あんたらのKVだってドイツ語じゃねえか」と反撃された挙句、「こっちのバックには海軍がついてるから、事を荒立てたら陸軍サンに迷惑がかかりますよ」などと恥をかかされる訳です。

当時の畜犬団体は、皇族から軍部まで利用して生き残りを図っていたんですね(日本犬保存運動では国粋主義者や大学関係者などを取り込んでいました)。

この辺の事情を理解できないと、「陸軍をバックにつけた悪玉のKV」と「善なる純粋な愛犬団体JSV」とかいう善悪論(笑)で日本シェパード史を解説してしまうワケです。戦時体制下にそんな幼稚な構図など通用しません。

 

 

 

 

 


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