弓削英治「ホタルガリ」より 昭和11年
イナカ暮らしなのでホタル見物にも左程難儀はしないのですが、ホタルの生息域は年々山奥へ後退中。
人工的な光源下ではかき消されてしまう微弱な明りですから、ホタル見物は山奥の闇の中という事に。
今年の夏も独りホタル見物へ出かけましたが、真っ暗な夜の渓流でライトを消してホタルを眺めるのはかなりの恐怖体験。周囲で幽かに瞬くホタルはとても綺麗なのですが、まるで質量があるかの様な夜の闇に押し潰されそうになります。
耐え切れずにパッと点灯したら、ホタルとは違う緑色の光球がワラワラと現れてギョッとしました。
シカの瞳がライトを反射していただけなんですけど、夜の山でシカの群れに包囲されるのは良い気分ではありません。
ここはニンゲンの縄張りではないと思い知って、そそくさと退散しました。
12月にする話じゃないな。
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ホタル
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