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Channel: 帝國ノ犬達
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白太郎(捕鼠犬)

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生年月日 昭和5年頃
犬種 カラフト犬?
性別 牡

鼠を取る事猫よりも巧妙な、カムチヤツカ産の名犬物語り……。
上田市役所税務課の内山要氏の飼育している白太郎六歳は、二年程前から鼠を取ることを覚え、既に百五十匹以上を捕へ、本職の猫もはだしの有様に大変な評判となつてゐる。

奇妙な事はよく人の言葉を聴き分ける事で、犬の芸といふ程の事は何でも見事にやる外、鼠の談となれば號令の大小、指先の如何で自由自在極めて敏捷で、床板を取つて方向を示すと必ず捕へて来る。

内山さんの話によると、此の白太郎に睨まれると、鼠が動けなくなる由、物かげに潜んでも、穴にもぐつてゐても獲られてしまふ。
獲物は猫の様に喰ふ事はしない。数町離れた畑の土に埋めて、家人が知らぬでゐる時は、埋葬地まで案内して教へる怜悧さである。

なんでも白太郎は當歳の時塩田方面から力さんといふ犬殺が連れて来たもので、名犬であることを直感、内山さんが貰ひ受けた訳だが、その後蚕専の針塚校長や多数の人達が所望したが、内山氏夫妻及び一人娘の登美子(一四)さんで兄弟の様に可愛がつて手ばなさなかつた。

その後此の犬の傳來を探ねると、某氏が大金を出してカムチヤツカからわざ〃取寄せたもので、純白、小型だが耳が立つていざとなれば相當獰猛の所を見せる。

信濃毎日 昭和11年


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