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Channel: 帝國ノ犬達
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10月7日の犬たち

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『東葛家畜病院亀戸分院『診察簿 大正十二年六月二十一日以降』より

大正12年10月7日診察

 

昭和九年の四月に東京ワイヤヘアード・フオツクステリア倶楽部の第二回観賞會が、東京銀座三越の屋上に催された。此時は名古屋、大阪方面からの出陳犬も多數あり、ワイヤーの人氣は大したものであつた。
同年十月七日、大阪甲子園ホテルに於て関東、関西のワイヤー愛好家の懇親會が催された。
當日出席の顔触れは大阪側から小林渙治氏、佐野甚七氏夫妻、林茂氏夫妻、鵜野信一氏夫妻、秋山豊雄氏、辰馬晴庸氏、溝淵計邑氏、三上紀之氏、宅通貞氏、加藤晴亮氏等、関東側からは今泉源吾氏、水町實程氏夫人、武田隆作氏、奏一郎氏、関根未知氏等であつて、之れ迄兎角関東、関西對立の形であつた我ワイヤー界の統制上、誠に有意義な會合であつた。

鶴見孝太郎「日本のワイヤー發達史」より 昭和12年 

 

次に私し共兼てS犬愛好者として牧羊は聯想致して居ります。
實は二週間程前に城外に〇〇訓練に出掛けました時、鐘紡の経営する工場の付属牧場が在つて同封の写真の如く百五十から二百位の羊群を追て支那人牧夫の朗な姿を視て、HGH(※牧羊犬試験合格犬の略号)を思ひ出さずに居られなかつたので、早速将校の寫眞器を一寸拝借して取りましたから一枚御送りいたします。
就而目下當地も軍用犬協會が民間に出來ました事は先日御知らせいたしたる通にて今後の發展も想像されますと共に、平和の完成の暁は必ずこの牧羊犬の出現を今から豫想せずには居られません。
内地と異て緬羊飼育も今後改良と發展を期す爲に今日より軍として省政府を励まして種畜場まで作たので、夫にともなつて必ずHGH犬の必要も認られる事は至當と存じます。現實に羊群を追ふ支那のすがたを見た時は何となくなつかしささへ覺へ、しばらくは視て居ました。
二年程前浅田様のお座敷にてS犬の生立から成犬に到るまでの獨逸の活動寫眞を見た時の事など思ひ出されて、近き將來此地に真實のHGHが出來るかと思いました。
鐘紡以外には支那人でも五十、百位の羊を飼て居るのが相當にある様子です。御協會を通じて會員御一同様に御健康をお祈りいたします。
十月七日 小栗錠一
「北滿便り」より 昭和14年


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