非常時局を反映して軍用犬熱が昂まつた折柄、純粋日本犬保存の趣旨から北海道にては舊土着に飼育されて居たアイヌ犬を、北海道犬と命名して本年一月天然記念物として指定、種族保存に努めることゝなつたが、日本犬保存會北海道支部(北大新庄教授主催)とアイヌ犬保存會(傳法貫一氏主催)の二團體が互に張合つて指定犬臺帳製作その他で抗争、關係當局では手を燒き、近く兩團體を解消、新に北海道犬協會として統一的團體を設立せしめようとして居るが、右につき當局は語る。
―同一目的の團體が二つあつて、互に主張を固持することは困つたことです。道廳では取敢ず二百五十五頭を指定したが、その記念物の性質上、臺帳を作らねばならぬのに、兩團體で互に其の所属犬の指定を主張して譲らず、非常に迷惑を感じるので、これを一團體に統一出來ぬものかと思つてをります。
と、斯う東京日日の北海道樺太版に載つて居ます。
札幌・十八公子『犬界の動向・日本犬』より 昭和13年