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満州軍用犬協会・牡丹江支部および軍事部国境警察犬訓練所設立 昭和18年

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滿洲軍用犬協會牡丹區お支部座談會

一、日時 四月二十四日(土)午後一時半

一、場所 大毎會舘三階廣間

 

平山支部長の挨拶に次で野田常任幹事から支部の現状に就て別項の報告があつた後、警察犬訓練所山本氏から先般市が實施した狂犬病豫防週間の機會に調査された牡丹江市の軍用犬資源に關して數字的に發表説明があつた。

次で會員側から飼糧問題藥液斡旋方に就て種々要望があつたが、飼糧の問題に就ては市當局側と折衝の結果、登録犬に限り成犬一頭に附糧殻一個月十五瓩特配のことに了解済みにて知覺軍用犬資格審査の上、大體五月から配給を實施する豫定の旨常任幹事から説明するところあり。

藥液の入手に關しては、省及市の畜産股の方で斡旋に努むる旨の回答があつた。其他種犬認定檢査會の開催及支部に優秀犬の繋留要望等約二時間餘に渉り熱心に、而も飼育上有益な意見の交換があつて、午後三時半座談會を終了した。

 

本座談會に當つて特に感じたこと。

會員の参會者の少なかつたことで、一般に軍用犬に對する認識未だ充分と認られない點である。之は支部設置日淺く、支部の活動が不充分であつた爲かも知れぬが、支部として今後展覧會、訓練會、競技會等出來る丈多くの機會を得て軍犬思想の普及徹底に努めねばならぬと思ふ。

豫防注射實施表に現はれる牡丹江のシエパード犬は約一〇〇頭程度であるが、勿論この中の大多數は無登録で軍用犬、使役犬として不適當なものも相當數あり、眞に軍用犬たるの有資格犬は眞に寥々たるものではないかと思はれる。

要すれば、今後支部としては軍犬思想の普及に努むると共に優秀犬の増殖に重點を措き、仔犬の分讓斡旋に努め、逐次不適格犬及び雑犬の淘汰を圖らねばならぬと信ずる次第である。

 

 

當牡丹江支部は昨年八月二十三日太平路運動場に於て、發會式會を擧げまして、以來訓練所の建設に力を注ぎました結果、時局下資材難にも不拘豫定計劃の工事進捗、昨年暮市内北晴山麓に工事費二萬六千圓を投じて犬舎二棟(二十頭繋留)及倉庫附炊事調理室二棟が出來上つたのであります。

犬舎の方は鐵線不足の爲、一部未完成になつてますが、之も近く竣工の豫定であります。

訓練所の建設資金は市内有力會社、商工公會、土建協會等の御斡旋に依る寄附金に依つたのでありますが、猶附帶施設に約五千圓程度を要しますので、寄附金豫定額の三萬圓に達する様極力未納寄附割當先に御願ひする積りにして居ります。

 

更にこの席で御報告申上度いことは當支部設置決定當時、元の治安部、今の軍事部が國境警察犬訓練所と當市に設置されることになつたことでありまして、支部訓練所建設に不尠好都合であつたのであります。

警察犬訓練所の方は支部の訓練所と同一敷地内に犬舎三種が完成し、本年度に事務所及宿舎が出來ることになつて居ります。

省と支部と打合せの上、炊事調理室倉庫等は支部で建て、事務所、蕃殖犬舎に醫療室等は警察犬訓練所で建てると云つた具合に、お互ひ豫算を有効に使つて立派な共同の訓練所を建設しつゝありますので、完成の暁きは全滿でも最も完備した訓練所が出來ることゝ存じます。

本席に御出席の山本さんが警察犬訓練所の主任として着任されてゐるのであります。

 

次に訓練の開始でありますが、訓練所も大體整備しましたので本部にお願ひして先月十六日に大原訓練士の着任を見、早速訓練に必要な準備を急ぎましたので、今日では何時からでもお預り出來る様になつて居ります。

どうか會員各位に於かれましては時局下軍犬報國の赤誠を致す意味に於て、優秀犬の飼育蕃殖を圖るため支部訓練所を御利用下さいます様お願ひして私の報告を終ることと致します。

以上

 

牡丹江市公署總務科 野田清

 

 

こちらは牡丹江國境警察犬訓練所建設の6年前、安東省の森内章介が訓練していた国境警察犬部隊(昭和12年撮影)

 

満州国安東省在住の森内氏による「国境警察犬の訓練を担当した」という証言以外、謎の存在だった滿洲の国境警察犬が遂に登場。専門の訓練施設があり、牡丹江へ配備されていたことも判明しました(安東省の国境は治安部ではなく財務部の税関監視犬部隊が警備)。

満州国犬界の資料は掘るたびに新事実が見つかるので、楽しくて鼻血が出そうです。


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