生年月日 不明
犬種 テリア
性別 不明
地域 東京府
飼主 荒木芳蔵・警視庁犬の相談所主任
当ブログでもお馴染み、警視庁の荒木獣医が飼っていた愛犬たちのお話し。
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次はテリアのことだが、生後一ヶ月半から飼つてゐた犬であるから、自然チビチビと呼んでゐた。
このチビは却々悧巧で、物覺へが割合良い方だつたので、何か仕込んでやり度ひと思つて、暇ある毎に教へる様にし、お手々やお預け、待つてゐなさい等は勿論のこと、一から七までの數を教へ込むに成功した。
それはワン一ツ、ワン〃二ツ、ワン〃〃三ツといふ様に、ワン一ツと言へば一ツ咆え、ワン二ツと言へばワン〃と咆えるのであるが、七ツまでは覺へたがそれ以上はどうしても覺へることが出來なかつた。
この訓練には約六ヶ月を過した。この六ヶ月間の努力は大したもので、暇ある毎に、一日に十回でも二十回でも教へるのだつた。
この根氣は、犬の訓練に携つた人でなければ想像も出來ぬと思ふ。
この頃では子供も大きくなつて、犬の世話許りもしてゐられぬので、その後に貰つた犬を一匹飼養してゐるに過ぎない。
『愛犬漫談（昭和13年）』より
