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北里研究所ジステンパー予防液による治験例・その3

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帝國ノ犬達-ジステンパー

昭和10年の広告より

 

ヂステムパーの豫防に就て(昭和12年)

北里研究所 H.M.Shoetehtsach

 

(承前)犬の健康とヂステンパー

ヂステンパーは健康犬でも之に感染し、放任すれば高度の死亡率を示す恐るべき熱性傳染病であつて、之が豫防は細菌學的免疫方法に依る他には方法が無く、北研豫防液の如きが其目的に向つて最も理想的なるものである事は前述の如くである。

然るに本病は其診斷が容易ではない現状にある爲に、屢々他病をヂステムパーと誤つて判斷される場合が有り、從つて豫防治療藥の効價に就て間々誤つた判斷を下される場合が起り得る譯であつて、ヂステムパーと混同され易い犬の疾病の項に略記した種々の疾病は、實際にヂステムパーと混同された事のあるものゝみを集めたものであつて、如何に廣汎に亘つた種々の疾病がヂステムパーと混同される場合が有るかには驚かざるを得ない。

併し之等の疾病の内の或者は平時犬の健康に細心の注意を拂ふ事によつて可成りの程度迄豫防し得るものである。

即ち(1)腸内寄生蟲の驅除。犬に寄生する腸内寄生蟲としては主に蛔蟲及十二指腸蟲であつて、之等はネマキル、ネオチレン、マクニン、チモール等を用ひて驅除出來るが、此の他に瓜實條蟲、豆状條蟲等も稍々多數寄生する場合が多く、其被害も相當恐しいものである。

其他驅蟲後も宿主に相當の害を及ぼすが、之等は前記の藥劑では驅蟲が困難である。尚ほ驅蟲の方法及驅蟲後の處置も仔犬の健康状態に大なる影響を及ぼす場合が有るから、多分なる注意を拂ふ必要がある。

 

(2)下痢の手當、仔犬の下痢(ヂステムパーの場合の便とは其性状を異にする)は放任すると屢々重大な結果に逢着する場合が多いから、發見次第適當な處置を講ずる必要が有る。

尚ほコクシヂウム性下痢は粘液と鮮血を混ずるのが通例で、檢鏡によりコクシヂウムのチステを證明する。それはヤトレン又はビリフオルム等を内服させて治癒せしめ得るが、放置すれば豫後不良な事が多い。之れの豫防には飲用水に注意する事が必要である。

 

(3)呼吸器疾患。犬は種々の病氣に於て多少なりとも呼吸器系統の障碍を受ける場合が多く、之れが進行すると細菌性肺炎、肋膜炎等を起す様になるが、之等は一般に上氣道に常在する細菌が、犬の抵抗力の減退によつて内部に侵入する爲に起るのであつて、之等細菌を用ひて製した豫防液又は血清(從來の製品の部B及Dは其豫防並治療に向つて試みる價値が充分にある)、其他五、六ヶ月以上の犬に時折見受けられる結核病(肺結核も起す)は人の咯痰を舐めさせぬ様注意すれば豫防出來ると思ふ。

 

(4)皮膚の細菌性疾患。ヂステムパーの發疹と屢々混同されるイムペチゴ(※膿痂疹・とびひ )の治療にば膿汁より得た細菌(主に葡萄状球菌)から製した自家ワクチンが有効である。

ヂステムパーは誤つて治療を施すと全身の抵抗力を弱め、爲めに仔犬では取返しのつかぬ事とある場合がある。

 

 

 

 


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