現在の杉並区立桃井第二小学校です。
昭和10年度に教材化された忠犬ハチ公物語「オンヲ忘レルナ」は短期間で教科書から消え去りましたが、その後も動物愛護教育は継続されていました。やがて戦時体制下における動物愛護は軍用動物愛護へと変質していきます。
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杉並區荻窪桃井第二小學校三年生男組六十名は、二十八日から始まる動物愛護週間を前にして、五月二十五日級友全部が一致して動物愛護の子供會を作つた。
この會は十五日夕刊東京版に出てゐた「街の陰得家へ感謝の動物愛護章」の記事を受持の上飯坂好實先生が修身の教材として生徒に話したところ、生徒たちは「では僕たちも犬を可愛がる會を作りませう」と申出たのがこの會結成の始まり―。
生徒たちの餘りの熱心さに上飯坂先生はみんなの代表として日本人道會(※在日外国人主導による動物愛護団体)に入會申込みをすると共に、動物愛護週間のプランを次のやうに定め、目下級全體で準備に大童です。
二十八日―お習字と繪の展覧會
二十九日―生徒のやるお話會
三十日―日曜日、お友達に「いきものをあはれめ」といふ事を教える
三十一日―三年前に死んだ學校の七面鳥のお墓の掃除。お池の水をきれいにして金魚を喜ばせる
一日―家で飼つてゐる犬や猫の健康診斷する
二日―動物の寫眞、繪の教室展覧會
三日―綴方を書く
「犬を可愛がる會・桃井第二小學校の佳話(昭和12年)」より