生年月日 不明
犬種 紀州犬
性別 牡
地域 岡山
今年の正月山路號を入手して、大いに幸先を祝つたのであるが、約一ヶ月にして死亡。幸先がいゝのか悪いのか判らない事になつて了つた。
今迄見た中で最も渋い、深味のある牡であつた。純粋度高く、而も肩高一尺九寸と云ふ見事な體格をして居た。
此の犬を入手した時、筆者は森君に、千圓以上で買手があれば、手放す。其れ以下では絶對に売らん、もう犬探しも止めよう、と断言したものである。
而も其の入手価格たるや、大枚金七圓也。写真はよく撮れて居ず、實物の良さは判らないのが残念である。
何故にこんなに安かつたかと云ふと、彼は右眼を失明して居た為、まさに殺されんとする寸前に入手したに依るのである。
即ち、皮と肉の値段と云ふわけ。
獨眼龍山路将軍に因んで山路號と命名したが、不幸テムパーに取られた。残念。
古市収 昭和15年
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山路(愛玩犬)
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