谷口中尉の話
〇〇部隊の軍犬班教官であつた谷口義美中尉は赴任の途中、長い馴染のエリツクはじめ多数の軍犬に別れを惜しみながら次の様に語られた。
「第一線の傳令は軍犬でなければならないと云ふことを幹部の方々に認識して貰つたことはなによりでした。
性能のいゝ軍犬を出来るだけ沢山使用出来なかつたことは残念だつたが、戦はこれからであり、軍の必要なのもこれからであるから、銃後の犬界陣を強固にしなければなりません。
長い馴染の臺湾軍犬界の諸君にお會ひする暇がなく、こんなに急いで〇〇に出發しなければならないのは非常に残念です」
くれ〃も宜敷くとのことであつた。
宮本佐市「臺湾軍犬界のきのう・けふ」より 昭和13年
↧
台湾〇〇部隊 作戦地域不明 昭和13年
↧