セッターとポインターの長所を併せ持つミックス犬、ドロッパー。
ヨーロッパの狩猟界では18世紀から用いられてきたそうですが、明治時代の日本のハンターたちがドロッパーを作出していた記録もあります。
載せるのが憚られるような内容ですが、明治時代の感覚では問題なかったのでしょう。許容できない部分は伏字にしました。
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セツタとポインタの〇〇〇〇(即ちドロツパ)は随分役に立つものあれど、馬鹿ものも多し。
又決して数代繁殖するものに非ず。
故に此相の子を絶やさぬ様せんには先づ別にセツタとポインタを絶やさぬ様せざる可からず。扨て〇〇〇〇は永続せぬと云ふ患あるが我國の猟士兎角犬の純血と云ふとに不熱心にして勝手気儘に雑ぜ物を造らんとするの傾きあれど、自然は容易に左様な急激なる変化を許すものに非ず。異種混合も有害なれど、又同種中余り親近のもの絶へず混合するも宜しからず。
犬にては経験上血族婚姻をさせた強ち悪るきにあらねど、余り数代続けては有害なり。成るべく他血を混ずるとなすべし。
雌犬は二年に一度位は子を産ますべし。毎年一度でも宜し。孕ますには二回雄を掛ければ充分なり。
雄は盛りの付きたる雌さへ見れば気が立つものなれど、余り制限を加へずとも宜し。
猟友「廣島のOM生君に答ふ(質問文は畧す)」より 明治25年
猟犬の異種交配は盛んに行われており、和犬が消滅の危機に瀕する大きな要因ともなりました。
ポインターとセッターは明治より大量に輸入・蕃殖されていたので、無秩序な交配によってドロッパーの数も相当に殖えていた事でしょう。
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ドロッパーの日本史
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