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Channel: 帝國ノ犬達
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大和出雲人形の犬乗子供と犬

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犬

奈良縣磯城郡初瀬町の南約十丁に出雲村と云ふのがある。
上古垂天皇の朝、野見宿禰の奏請により、殉死を禁じ、代ふるに土偶を以てし、出雲國の土部一百人を召し、埴輪を以て人馬等種々の形を作り、御陵の周囲に立たしめたと、日本書紀に出てゐる。
其土偶の作られたのが此村で、其人形を出雲人形とも出雲路人形とも、其村名で呼ばれて来たが、出雲の國と誤解して居る人もある様だ。
型は伏見型だが、製法が極めて粗雑で、殆んど焼かない土偶に、膠のない胡粉と絵具を塗つた、毀れ易く剥げ易い、全く時代離れのした、穢い玩具だ。
元は長谷観音に参詣の途次、土産として求めた物だが、今は参詣人も此村を通らなくなつて、自然賣られてゐない。
只一農家に其型を蔵し、趣味家の需に應じて、僅に作られるに過ぎない。
犬乗子供は、高六寸で、扇子を持つた子供の乗つて居る、雅味とか愛らしさを超越した物で、神代の子供の喜びさうな物。
犬は伏見の一文狗と全く同型である。

高橋狗佛「犬の郷土人形」より 昭和9年


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