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Channel: 帝國ノ犬達
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日本シェパード倶楽部と帝国軍用犬協会の展覧会 昭和8年

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近代日本のシェパード史においては、日本シェパード犬協会と帝国軍用犬協会の対立が主軸として語られます。

それ以前、KVとJSVの源流たるNSCにおいても、分派であるKVとの衝突が始まっていました。

 

で、戦後の批評はともかく、当時の実情はどうだったのか?という記録を。

 

 

NSC展覧會を見て、帝國軍用犬協會のそれと比較して其所感を無遠慮に書きつらねて見ます。

一、プログラムの體裁並に内容、僅か數文字のミスプリントを發見するに留りたるクラブ(※NSCのこと)、今回のものは帝犬のプロのミスプリントと称するよりも寧ろ無責任なる誤謬満載に比する時、數十頭有益なるものと存候。

二、一般鑑賞者に對するアナウンスはクラブの側に於て遺憾の點多々有之候。例えばベストフオーアのラウンドトロツテイングの際の如きは、犬名とベンチ、ナンバー位はアナウンスありて徹底せしめられたく候。一方帝犬側のはラウドスピーカーによりてアナウンサーの云ふところは全く完全に徹底したるも、全く之も無責任なるアナウンスにて優秀犬の審査の際に於てさへ、そのアナウンスせる犬名は殆ど間違ひ居り候。

三、帝犬のプロには毛色記入有之候も、全くデタラメの甚しきものにて批評の限りには候はず。此の事は外國等に於ては如何かと被存候も、當今日本の状態としてはクラブの登録の際の毛色の名称は全く日本讀みと相成居候関係上、一般登録者並にメンバーの用語統一の為めにも暫らくは出場犬の名札にクラブ當番者が毛色を記入するか、或ひはプロに記載して在東京の犬、又は支部所在地の犬の毛色名称のみにてもその範を示して統一を期せらるゝ方法を採らるゝ場合は今日の行事としては實に画龍點と可申哉と存候。

四、右の外、會場椅子の數を増すこと、プロの一部か或ひは會場の掲示板に審査進行の順序次第書を發表すること。出陳犬並に其出陳者の入場に際して関所式に審査、評量、評尺、獣医診断等を厳重に形式に於ても顕はすこと等、小問題は有之候も之等はホメル事のみ多き為め強いて求めたる小生の註文(一般鑑賞者の一員としての)に御座候。

五、次ぎにクラブ會報に就て

イ、仔犬外登録の際、毛色、名称の統一の件は右に申述候も、殊に仔犬の毛色の場合に於ては餘程の経験者ならでは確實にその名称を云ひ現はし難きにあらずやと存じ候。特徴として報告したるスポツトが四五ケ月頃には消え失せるものある等、相當小生と同感の人も多かるべきと存候考慮被下度候。

ロ、相馬氏の座談會の話によりて益々慎重考慮を擁する様教えられ申候も、此の上は毎年の獨逸ジーガー展のV賞犬の血統の發表等は相當に効果あるものと存候。SZケール・ブツフによりてそれを調査する各人の労を厭ふものには無之、ケールブツフを手にし得ざる會員の方、數に於て遥かに多きこと確實に候間右様御願申上候。

ハ、クラブ登録犬のスタツドブツクの發行迄は登録並に交配報告の際にはせめて、祖父母迄の血統御記載順はゞ(之は少々慾張り過ぎたる問題かとも存候へ共)幸甚に御座候。

申上ぐれば極りなく多々有之候得共、先づこの邊にて注文は控へをき申候。何と申しても展覧會の日和の宜しかりし事と盛大なりしことは慶賀の至りに存申候。

 

NSCメンバーK生「展覧會比較」より


 


 

 


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