眼に見えないウィルスの脅威は、初動の封じ込めに失敗すると社会的な大混乱を引き起こす。ワレワレはそのことを学んできた筈なのです。
非常事態に直面した時の政権は状況軽視と後手後手の対応と守れっこない口約束で無能無責任を晒しまくり、野党は野党で足を引っ張るチャンスと勘違いし、よって国と地方行政の足並みは揃わず、司令塔不在のまま現場は大混乱し、そのツケを押し付けられた役人は責任回避のため情報封鎖の愚を犯し、オノレの思想信条のためには伝染病の惨禍を利用して恥とも思わぬ輩がマスメディアやネットに跋扈し、疑心暗鬼にかられた市井の人々はしょーもないデマや風説に飛び附き、飲み会やイベントを自粛し、移動や物流が滞る事で経済活動は急速に悪化し、手を尽くしても拡大していく病に絶望し、最後には神仏や非科学的な療法にすがってしまう。
喉元を過ぎたら何とやらで、事態が終息したらカイゼンではなく内情の暴露合戦と戦犯探しと自己弁護の醜態が演じられるワケです。
いや、以上はすべて2010年口蹄疫騒動の思い出話ですよ。
たかが家畜伝染病で大混乱に陥ってから10年が経過した現在、すこしは学習しているでしょ?とか思っていたら人間の感染症で同じミスを繰り返している日本は、この10年間全く成長していなかったということですか。
我が社も同じ。「防疫マニュアルや休業手当のルールを全員へ公開しましょう」と上層部へ促すも「騒ぎすぎだ」と反対されて唖然としました。リモートワークも前例がないから駄目ですってよ奥様。これまで何千万も費やして整備してきたネットワークと情報端末を、いざ鎌倉というときに活用しませんかそうですか。あげく「こんどのゴルフコンペはいつだ?」などとくだらぬ質問を返してくる始末。玉転がしなんか中止に決まってるだろ。
ああいう昭和脳が社会を動かしているせいで、自己防衛に徹するしかなくなるのです。
花粉症なのでマスクは常日頃から備蓄してはいますが、気休めにしかなりませんよね。ミリタリーオタクゆえ各国のガスマスクも数個所有していますが、第二次大戦やベトナム戦争時の骨董品だから濾過能力も失っているし。そもそも、こんな物騒な物かぶって外出したら通報されるわ。
……さて、どうしたものでしょう(喘息持ちでもあるので、じわじわと呼吸ができなくなる恐怖と苦しみには人一倍臆病なのです)。
若く優秀なトップが見事な防疫措置を展開している隣の台湾を眺めつつ、日本が老いた三流国家へ落ちぶれたことを再び痛感する2020年3月。