「海軍大佐小田喜代蔵君、特種の重要任務を奉じて旅順丸に在り。常に其の二愛犬を船中に畜ふ」
『日露戰争實記』より 明治38年4月15日撮影
曩に渡欧した東京猟話會々頭、後藤新平男爵は桑港(サンフランシスコ)で一疋の番犬を購入された。種類はニユウフアンドランド種らしいが、兎に角大きなもので生後二ヶ月、身丈が二尺、長さ三尺、足の太さの周囲の寸法が六寸あると云ふ。
其の祖父に當る犬は仏蘭西で四十二人の人を救助した名犬、父犬は元に桑港に於ける犬の品評會で第一等賞を得たる優犬で、人間一人を宙に吊して歩くと云ふ。
此の種の番犬の特徴は、人が近づけば吠へて、尚留まらざれば其の衣服を咬へて門外に出し、尚従はない時は初めて咬みつくと云ふ。既に此の犬は四月十五日にコレア丸で横濱に無事に到着した。
『後藤男爵の買つた番犬』より 大正7年
大正13年4月15日診察
生年月日 昭和9年4月15日生れ
犬種 ラフコリー
性別 牡
地域 東京府
飼主 中村勝一氏
ボド・フォン・クジャクソウ(俳優犬)
生年月日 昭和11年4月15日。 父犬はPH資格犬ベロ、母犬はZpr資格犬フローン。
犬種 シェパード
性別 牡
飼主 阿部幸也氏 (写真の人物)
近年漸く鳴をひそめたかと思はせた狂犬も、三月初旬品川に一頭、芝白金に一頭現はれ、附近一帯の迷惑は云はずもがな、愛犬家の心臓を寒からしめたが、その矢先又復去る四月十四日午前頃、黒色の雑種犬牡一歳位が芝區白金志田町八三番地から六三番地付近を暴れ廻り、通行人に不安を與へてゐたが、一時姿をくらまし、十五日又復徘徊し始め、午後一時半頃同町関根氏玄関前で暴つてゐるのを同家の妻女つたさんが發見。捨て置けずと魚籃坂下巡査派出所へ届け出た。
同派出所から直に根本重太郎巡査が急行、荒狂ふ同犬を捕獲し、関根氏宅先に厳重繋留し、時を移さず警視廳から伊東警部並に荒木獣醫が出張。臨検の結果、同犬は眼光鋭く、流涎、狂暴、咬牙の状あり、時に嗄聲で吠える等狂犬病の症状極めて顕著なので、同犬を武田化製場へ送る一方、附近一帯へ野犬狩の一隊を動員して警戒に當ることにした。
同犬は化製場に監禁中、その夜病嵩じて遂に斃死したが、死體解剖の結果、真正な狂犬病であることが確認された。
『又復狂犬芝に』より 昭和12年
平林家畜病院『狂犬病予防注射控簿 昭和十三年十月廿七日以降』より
昭和14年4月15日診察
平林家畜病院『狂犬病予防注射控簿 昭和十三年十月廿七日以降』より
昭和15年4月15日診察