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Channel: 帝國ノ犬達
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戦前のプードルの飼い方 昭和12年

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日本でプードルの飼育が確認できるのは大正2年の記録あたりから(Wikipediaの昭和24年初来日説は誤り)。しばらくはマルチーズとプードルの交雑犬が現れたりと混乱が続きますが、やがて輸入も本格化します。
小型のトイプードルはどうなのかといいますと、昭和11年に警視庁が飼育登録したトイプーは7頭。翌年の日中戦争突入以降は数を減らし、飼育記録も見かけなくなってしまいました。
それでは、戦前の日本でプードルを飼育していた鍛治田さんの解説を。

 

犬 

大正12年開催の大日本愛犬保護會第一回畜犬共進會(静岡県)に出陳されたプードル「ブヤン」。

 

丈夫一式の犬なので、飼ふのにあまり苦労しません。食餌は粥に鰹節を臺にしそれに肉、時に内蔵等を與へ、野菜を混ぜてやることもあります。一體が小食の犬で、喰べる分量は極く僅かで、多くやつても殘して了ひます。
あまり他人にはなつかぬ犬ですから、知らない人からの食餌は見向きもせず、自然に拒食が出來てゐるとも云へませう。
御承知の通りプードルは顔と後半身の毛を刈つてやります。このお化粧は二ヶ月に一度位でよく、顔の方は生えて來れば、いつでも刈り取ります。
それからお座敷の愛玩犬ですから、身だしなみを綺麗にすることが必要で、四五日目位にはブラシでよく洗つてやります。夏ですと二、三日で洗ふやうにしますが、冬場洗ふには部屋の温度を六、七十度位引揚げてからでないと、風邪を引く虞れがありますから、充分注意せねばなりません。洗ふ際には石鹸より髪洗粉のやうなものを用ひ、月三回はお湯の中に硫黄を入れてやります。これは皮膚病に罹らぬ豫防で、相當効果があると信じてゐます。硫黄の分量はチヨコに七八分位、これを盥半分位のお湯の中へ溶かし、これで洗ふやうにします。
却々怜悧な犬で、小用などは知らせに來るので、表へ出してやりますが、座敷犬にはお行儀が大切ですから、かういふ躾けはよくしておくことが必要だと思ひます。

鍛治田ツマ『プードル』より 昭和12年

 

 


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