「帝國ノ犬達」は犬の昔話のアレコレを広く浅く取り上げるブログです。
これも面白かろうと思い、犬にまつわる信仰とかオカルトじみた話なんかも対象としています。
しかし、今迄取り上げたのは犬の地震予知
とか帰巣本能とか、不思議な様でそれほど不思議でもない記録ばかり。
そういえば、我が国で犬の怪談はあまり見かけないですね。化け猫の話は有名なのに。
欧米や中国では、狼男とかジェヴォーダンの獣といった犬系モンスターは珍しくありません。
盤瓠なんかも、あの誕生の仕方は尋常じゃないでしょう。お前はカプセル怪獣か。
※私はポケモン世代ではありません。
以前取り上げたインガミ(犬神)
はどうなのかな?地域によっては、タタリ云々より家畜伝染病を妖に例えただけのケースもあった様ですが。
有名どころでは、ココ掘れワンワンで花まで咲かせる不思議犬もいましたね。
似たような話として、今昔物語に載った「犬頭糸」もあります。
絵的には怖くも何ともありませんけど。
蚕なんか食べるから……。
犬の怪異として、べとべとさんの犬版である「送り犬」も知られています。
しかし、「アレは単なるニホンオオカミ
だ」と云う説も。
木の葉天狗も狼ですし、……あとは何だろう。犬夜叉とかダメですかね?
犬走木の葉天狗といえば、手元の史料にソレっぽいのがあったな。
ソレっぽいの。
スミマセン、確認したら狐でした。化け猫とか白狼天狗みたいなのもいますけど。
化け狐や化け狸という適役がいたので、化け犬なんか必要なかったのかもしれません。
「宮本美勇傳」より 明治23年
どちらかというと桃太郎に従って鬼退治したり、大蛇から主を護ったり、しっぺい太郎とか注文の多い料理店のように「犬=バケモノと戦う人間の味方」という位置づけなのでしょう。
中には信心深い犬もいた様ですから。
摂津の壽法寺(大阪市天王寺区)にいた感心なワンコ。暁鐘成「寺院の犬経を読む」より。
しかし、ワガママかつ凶暴な人類と共に暮す以上は怨念を抱いて死んだ犬もいた筈。
殺めた犬の祟りが我が子に降りかかった、などという因果応報談は幾つもあります。まあ、こちらは無益な殺生への戒めなのでしょう。
この辺でネタが尽きてしまいました。
どなたか妖怪に詳しい方、日本の犬の怪異について是非とも御教示くださいませ。
数少ない犬の妖怪については、江戸時代の怪談が残されています。
これが、出羽国置賜郡(現在の山形県米沢市)に現われた犬の妖怪↓
暁鐘成「犬の霊」より、米沢八幡宮で殺められた犬が化けて出た姿。あんまり怖そうじゃないですね。
しかし、私の手許にある史料では次のページが破り捨てられているため、話の結末が分りません。
なんで此の1枚だけ破る必要があったのでしょうか?
もしかすると、堪えられないほど忌わしいラストが待っていたのでは……。
などと、そちらを想像する方が怖かったりします。
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犬の怪異
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