アヤックス・フォン・フクヤマKZ10461
生年月日 昭和8年12月20日
犬種 シェパード
性別 牡
地域 香川縣坂出市
飼主 鎌田岩松氏
舊臘二十日、エアデール愛犬ゲルタを伴ひ寶塚に妹尾氏を訪ひ、同氏愛犬チヤンピオンマスコツトに交配させた。
『犬の噂』より 昭和12年
街を過ぎると昨日の戦闘で戦野に散つた抗日戰士の死體が散見して居る。白日晴天の星章を付けた軍帽に軍装も整つて居る處より判断すると、敵としては装備の良い精兵には違ひない。
行けど進めど泥濘は涯しがない。蒸し暑い太陽が照り付けると半乾きの道路は兵も軍馬の肢もすくい捕られさうであつた。
難行に難行を続ける。
軍犬丈けは重量が軽いので泥濘に入り込まない。こんな時には軍犬に生れたのは幸福であると思つた。半日歩いても幾何も進んで居ない。
雇山鎮付近 昭和12年12月20日
冬になり腐敗力のスピードが落ちて來ると、犬の撲殺期になるのが毎年の例であるので、犬撲殺人と親交を得て會員犬の保護を願ひ、旁々日頃の謝恩會を行ふ可く、去る12月20日の夕べ、彦三町竹屋にて座談會を行へり。
お客様は7名、會員は16名で實に盛會であつた。
加藤氏は野犬狩の必要から吾々飼育犬の現状、目的等を逐一語り以て開會の挨拶を述べられ、捕獲し易き犬、不注意な愛犬家、捕獲方法、撲殺法等微に入り細に渡つて秘傳を語られ、殊に痛快だつた事はお客側の金丸氏は、軍用犬の訓練とか或は作業犬、万能犬と最近訓練の公開を拝見をするが、一向に榮えてゐない。
あれでは犬芝居の域を脱してゐない。
殊に攻撃訓練の如き八百長染みてゐて怖いと云ふ感じが起きない。と痛い所を一本御見舞ひされて終つた。
吾等の訓練、JSV畑の訓練研究會と銘打ち、相當自信を持つてゐる吾人も、氏の一言を耳にして奮起せざるを得ないのである。
非實用的訓練乃至式上の訓練に惰しつゝある點確認出來やふ。外國映畫で見る犬、例へば「僕の脱走記」に現れる攻撃訓練や、犯人の禁足等照合をして、吾々の訓練が幼稚である事を思ひ、又訓練した金澤の犬は他人に捕へられ易く、然らざる犬は捕獲され難き點を對照し、以て訓練の實用化を強調し度いのである。
座談會は終始圓滑に午後11時30分に散會。
日本シェパード犬協会金沢支部 土屋氏「犬撲殺人と語るの會」より 昭和12年
米穀生産縣大分にも統制が強化されて、縣下の各市町村では米麦の切符配給制に成つて来たが、之れに先立ち支部では昨年七月支部長曾根崎大佐、幹事堤茂明、佐藤宗六の三氏は縣當局を訪問し、軍用犬にも米穀切符を配布される様口頭にて陳情して行つたが、更に具體的問題を陳情書に認め、佐藤宗六、東義夫、堤茂明の支部役員が十二月二十日縣廳に農務課長を訪問し、種々懇談の上、右纐纈縣知事(※纐纈弥三氏)宛陳情書を手交した。
軍用犬に米穀切符は云ふを受ける可く支部から昨年十二月縣當局に陳情書を提出したが、更に常任幹事佐藤宗六氏は一月十日縣廳畜産課並に衛生課の各主任技師に面談。
縣下三市並に消費の主なる町に於ては軍用犬の飼料難であるから速かに米穀配給を配布される様依頼した。
「飼料配給に就て」より 昭和16年
平林家畜病院『狂犬病予防注射控簿 昭和十三年十月廿七日以降』より
昭和18年12月20日診察