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12月21日の犬たち

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聯隊長批評
(吉田)大尉は由来犬に就て一種の趣味を有し當に之を愛飼し、之が使用訓練に力を用ふること多年、今回本問題を与ふるや繁務の豫暇之を實用的方面殊に軍用方面に利用する爲め、奮て之が調査研鑽を重ね本答案を提出せり。
未だ之を以て完璧と爲すを得ざるも、自後此の考案を實際に就き益々之が研究を積まば蓋し得る所尠なからざる可きを信ず。

大正二年十二月二十一日 陸軍歩兵學校長 三原三郎大佐による軍用犬研究レポート評

 

 

『東葛家畜病院亀戸分院『診察簿 大正十二年六月二十一日以降』より

いずれも大正12年12月21日診察 

 

犬 

日本犬保存會の招きに依り、十二月二十一日午前三時から本協會研究部委員永田秀吉氏は世田谷區梅ケ丘の日本犬保存會附属訓練所に出張。日本犬の訓練状況を詳細に観察した。保存會側は齋藤氏(斎藤弘吉)病氣の爲め、板垣博士、其他が出席した。先づ訓練犬は和賀號(岩手系、昭和八年五月生、牡)に依り、高飛、攀壁、編技障碍、休止、据座及び招呼、伏臥、匍匐、持來等を實演し、小島訓練士は赤號(岩手産、昭和九年二月生、牡)に依り、襲撃、犯人の護送、捜索等々を供覧した。
いづれも模範訓練犬なる事とて軍用三犬種に劣らぬ鮮かさを示し、薄暮終了した。尚協會からは永田氏の外に澤田博士、佐々木四郎氏が参観した。
帝國軍用犬協會『日本犬訓練視察』より 昭和11年

 

場所 河原町三條 朝日ビル「アラスカ」

一日遅れて十二月二十一日、十三年最後の廿日會が催されました。参會者二十九氏、常は會費五十銭也の茶話會が今度は晩餐を兼ねての集り會費金二圓五十銭也、しかも出席率のよい事に於て本會の記録、経済日本の餘力こゝに於ても明です。

晩餐を終へて浦川支部長より「來年よりは本會本年の目的、研究に精進し度い。そして明年三月中旬を期して大々的に支部展を催す事になつたから、各位の努力を希ふ」旨の御挨拶がありました。

又小林幹事長が次回廿日會の研究宿題を募集せられましたうちから、次の四題が挙げられました。

一、衣笠訓練場の活用方法

JSV単に有志訓練場とせず、京都支部に買収して

二、シーズンを人工的に左右出來るや及其の結果

三、展覧會の目的

次に吉田さんからの提案

「廿日會と定めた以上、特別の理由に依り期日會場を變更せざる限り場所を河原町丸太町東洋亭と定め、本會開催の都度全會員に通知するの無駄を省略し度い」

滿場異議なく可決。

續いて高村さんの「軍用犬は果して軍隊に於て役立つて居るか」に脇坂さん答へて「私の聞いた確實な諸情報に依りますと、頗る役立つてゐる。唯残念乍ら我々がS犬に期待した程の素晴しい仕事ではない。が、監視に於て、少人數にて輸送中不意の襲撃に對する防御に於て、實によく役立つて居る。

然して一度犬を連れて任務に服した兵隊さんは切に軍犬を希望して居る。又満洲國に於ては頗る多數のS犬を要求して居るが、現在日本の犬界では到底其の十分の一の需めにも應じきれぬ。

軍犬の買上げに於て見るに、第一に稟性、微塵にてもシヤイ氣のあるものは駄目。飽く迄大胆な使へる犬を望んで居る。吾々はS犬本來の目的に副ふ犬をドシドシ蓄積すべきだ」と大要此の様な御回答でした。

續いて先年に倣つてフク引。

これがこれ京都支部の實に嬉しい氣分でして、今年は婦人部の作になります、代表的なものを二、三御紹介しますと

2番 六雄さん

JSV京都支部―いつももめない―綿がない、でステープルフアイバー製品

11番 中西さん

非常時主婦の心得―締くくりが肝心―で帯〆一本(奥さんのないのに)

16番 池野氏夫人

御目出度い亭主―いつも尻に敷かれる―で座布團(これは池野さんだけに止りません)

27番 堀さん

支那の飛行機―よく落ちる―で洗濯石鹸と云ふ風で、流石非常時色が濃いです。

別室に退いて座談會、駄弁なきではありませんでしたが時局柄、どの程度に支那大陸に活躍してゐるかが問題になり通しで正月を迎へて尚一層張り切るべく申合せて午后九時半萬歳三唱散會。

『第五回廿日會の記』より 昭和14年

 

 

今回、神戸軍犬學校で訓練中のシエパード犬
神戸市神戸區加納町 佐々木親逸氏
愛犬アルト號 牡 一年半
大阪市此花區大開町 福田伊廣氏
愛犬ムツ號 牡 三年半
神戸市葺合熊内町 福島宇治郎氏
愛犬チー號 二年
の三犬は、先月末陸軍省へ献納手続中の處、十二月十一日附を以て晴の應召をした。
福島宇治郎氏に引率され、〇〇地に向ひ、勇躍出發(右いづれも帝犬協會員の愛犬)中でも佐々木親逸氏の長男で一人息子の宗一氏は、今次聖戰〇〇地で華々しく名誉の戰死され、金鵄勲章まで賜つたのであり、今回又も同氏は愛犬アルト號の應召に際し、お前も無き主人の名誉を辱めぬ様しつかりやつてくれと、我が子にでも諭す様に言つて聞かせて居られた。
右献納犬ハ資格優秀ナルモノト認メ、之ヲ受領ス
昭和十五年十二月二十日
陸軍歩兵學校軍犬育成所附 山口喜内

「軍犬應召」より 昭和16年

 

 

 


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