驛のセパードが、素性も知らぬ支那犬と〇〇してゐたと云ふ投書が舞ひ込んで、江川驛長、(満鉄)本社から始末書一札まき上げられた。
ところが、だん〃調べて見ると、驛に飼つてある二頭のセパード―これが嬢と君の一對である―が、恋々の情さり難く人目を忍んだのが運悪くみつかつて、器量の悪い方が支那犬に見誤られたわけ。
人間ならば勤務中に不届なる行為とあつて早速首が飛ぶところ。
犬であつた為めに驛長の始末書で事件落着。
犬の風紀取締に頭を悩ましてゐると云ふ江川さん受難の巻。
「撫順」より 昭和10年
南満州鉄道株式会社は、周水子鉄道警戒犬訓練所の他に撫順の炭鉱警備犬訓練所を設置していました。
ここで訓練される撫順警備犬は、撫順炭鉱の石炭泥棒を排除するための番犬。対匪賊用だった周水子の鉄道警戒犬とは任務が違いました。
ただし、この記事の犬達は撫順駅で鉄道警戒任務に就いていた様ですね。資材盗難にでも備えていたのでしょうか?
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撫順駅の不祥事
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