それまで男性中心だった日本犬界にも、女性が進出し始めた昭和初期。徳田さんに続き、海外で学んだ筧うめ子氏や鵜野福子氏のようなブリーダーやトリマー、愛犬精神の普及につとめた水谷八重子(初代)、動物愛護運動を牽引するバーネット大佐夫人のようなリーダーも現れました。
こうして女性愛犬家の活動は拡大したものの、戦時体制下で再び縮小へ向かいます。
先きに夫君を失はれた徳田てる子女史は益犬界の爲に努力せられつゝありしが、六十五歳の高齢を以て去六月四日英國へ向け單獨其研究に出發せられたり。
孫の守でもする以外になきを普通とする日本婦人が、而も單獨畜犬界の爲に渡歐せれるゝが如きは他に類例無かるべく、犬界の譽れと云はざるを得ず、世の遊民諸氏、同女の(以下、褒めているつもりでハラスメントも甚しい表現が続くので省略)
『徳田てる子女史の渡英を祝す(昭和3年)』より