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Channel: 帝國ノ犬達
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犬の服

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現在では犬の服も珍しくありませんが、アレっていつ頃から始まったんですかね?ウチの犬には着せた事ないですけど、ちょっと興味があります。
このブログでも紹介して来たとおり、雨天用のレインコートや競技用のゼッケン、軍犬用の雪中迷彩胴衣なんかは戦前から存在しています。
結局のところ、よく分んないんですけどね。

今回は猟犬用の服の記録。防牙なのか防寒なのか誤射防止用なのか単なるお洒落なのか、例によって正体不明です。



初猟の前日、上野驛に行きますと、猟犬に立派な服装をさせた猟師に出會ひますが、あの犬がはたして完全なる猟芸をなし得るか、非常な疑問を持つて居ります。
犬と云ふ奴はもと〃野生の動物であり、殊に防寒には體中毛がはへて居りますから、あれに着物をきせて置く事は、どう考へてもよい事とは思へません。殊に美食をせしむるなど、犬をスポイルせしむる最大原因と思ひます。
人間ですらも美食飽衣が、健康にも精神上にもよくない事は、今更喋々する必要の無い事で、まして犬に於ておやと考へられます。

私は現在犬小屋だけは、日當りのよい處に置き、小屋の内部の日光消毒と、湿気とに注意し、食餌は朝夕二回、残飯に少量の副食物を加へたるものを與へ、日々三四十分間運動させて居りますが、極めて良好なる発育で、秩父や上州の山に行つて、三日間は完全に用を弁じますが、時間の都合が出来て、日日二三時間運動させたならば、一層好成績を表す事と思つて居りますが、なか〃運動せしむる時間が不足して居る事を、非常に残念に思つて居ります。
従つて猟期が過ぎるとふとりすぎる傾向があります。

漁師に預けてある方の犬は、粗食して日日十分な運動をして居るので、之れは非常な健康状態です。
十二分に捜索に従事して居ります。
此の頃、面白い話を猟師から聞きました。
ある東京の名猟師が、数百金の犬に立派な洋服を着せて山に来て、玉子を與へ肉を喰せ、箱入り娘の様な取扱方をして居つたので、山の猟師は一日でもよいから、あの犬の様な待遇を得たいものだと心密に思つて居つたさうですが、此の名犬は二時間許りでゑんこして、遂に一羽の鳥も追ひ出さず、二日目には猟師の庭につないで置いたとの事でしたが、愛玩犬と猟犬の區別はしたいもので、人間の養育でも同じ事だと思ひます。
山田醇「猟犬漫言」より 昭和11年


……犬の服より、犬の抜け毛が付着しないジャージやスーツが欲しいッス。


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