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Channel: 帝國ノ犬達
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東京府のペット頭数と咬傷事件発生数(明治34年度)

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警視廳に於ける最近調査に依れば、市部郡部に於ける飼犬の總數は殆んど一万餘頭の多きに達し、現に市部のみにても六千二百三十二頭あり。

最近三ヶ年間に狂犬及非狂犬にして人に咬み、又は傷けたる頭數は三十一年狂犬廿六頭非狂犬二百五十四頭、三十ニ年狂犬卅頭非狂犬百九十一頭、三十三年狂犬五十五頭非狂犬百九十八頭にして、被傷者數は卅一年に百八十三人、卅二年に百六十人、卅三年に百九十四人の多きに及び、追々(たびたび)銃獵家の増加は飼犬の増加を來し、飼犬の増加は勢、狂犬病の數を加ふるに至るより、其筋にても畜犬取締規則制定に關し種々調査を遂げつゝありと云ふ。

「東京府下に於ける狂犬と被害」より

 

戦前のペット統計はほとんど残っておらず、農商務省(現在の農林水産省)による狂犬病統計で被害規模を把握したり、畜犬展覧会の出陳記錄などから流行の品種を推測するしかありません。

ペット登録の記録が断片的にでもわかるのは、やはり東京エリアのみ。明治20年代までに洋犬が普及し、狂犬病感染、咬傷事件、飼育マナーの悪化をみかねた行政機関が畜犬取締規則で対抗、畜犬税による飼育頭数抑制策に愛犬家側が反発していく流れは何となく把握できます。

だから、このような史料はナカナカ貴重なのです。

※全国の道府県も同じような状況にあり、この年には神奈川県でも畜犬取締規則を公布しました。


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