熾烈な攻防が展開された第二次上海事変で、戦前から訓練されてきたベテラン軍犬班はあっという間に払底。
更に南京侵攻へと戦線が急拡大したことで、シェパードの数が足りなくなります。
内地ではシェパードの繁殖推進が叫ばれ、調達窓口である帝国軍用犬協会への加入キャンペーンも展開されました。
ちなみに、入会は強制参加ではなく任意。会費を払ってまで何万人もの愛犬家(戦時を通して累計6万餘頭の民間シェパードが登録されています)が帝国軍用犬協会メンバーとなった理由は、繁殖育成した愛犬を高値で陸軍へ売り払うためでした。
民間シェパードの戦地出征とは、「犬を買いたい陸軍」「犬を売りたい飼主」「両者を仲介する帝国軍用犬協会」の三者で成り立つ売買契約が実態だったのです。
※「軍部に愛犬を奪われたカワイソウな一般市民」を脚色・演出する上で、ドラマや小説では帝国軍用犬協会の存在が削除されています。