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Channel: 帝國ノ犬達
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アムールとウラル(護身犬)

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生年月日 不明
犬種 ドーベルマン
性別 牡
地域 旧ソ連

当時のソ連にも欧州経由でドーベルマンは持ち込まれていたのですが、その実態は謎です。
短毛のドーベルマンがソ連の冬に耐えられるのか?という疑問から「ソビエトはドーベルマンを長毛に改良し、国境警備に投入している」とかいうアヤシゲな情報まで流れております。
シベリア鉄道で旅行する日本人が、沿線の街で垣間見る程度だったソ連のドーベルマン。数少ないその記録についての記録がこちら。
あと、小泉又次郎(小泉純一郎首相の祖父)がココでも登場しております。あっちこっちの記録に顔を出してますけど、結構な愛犬家だったんですねえ。小泉さんの愛犬録でも集めてみようかな。



次に私が手に入れたのは、例のドーベルマンだ。
これは先年シベリヤ地方を旅行した際に、ウラヂオストツク、ハバロフスクを巡歴して優秀な牡二頭を譲り受けた。
一は「アムール」と呼び、他を「ウラル」と称んでゐた。
前者は怜悧、後者は勇猛を誇つたものだ。これは御承知の如く軍用犬として欧州では既に定評のあるものだが、主人を死守すると云ふ點に於ては、護身犬としても亦最適であると云へやう。

アムールは其の後、小泉又次郎氏の許で愛育されるやうになつたが、ウラルの方は何處へ行くにも私と一緒だつた。
これはグレーハウンドのやうに、非常に疾走することが得意で、自動車で最高四十哩位のスピードを、平気で横濱辺りまで追走したものだ。
其の上に勇猛無頼で、私が所用を果してゐる間など自動車の中に頑張つてゐて、もしもハンドルなどを悪戯するものでもあつたら、矢庭にこれを襲撃するといふ、極めて剽悍な奴であつた。
それでゐて散歩になど伴れて歩くと、決して家人に離れるやうなことはなく、不断に主人の身辺を守護するといふ忠僕でもあつた。

ウラル直系の仔犬も数頭を得、現に郷里の博多で飼つてゐる(令弟九州日報社重役中野泰助氏)のも同系であるが、残念な事にウラルも遂に失くしてしまつて、現在家にゐるのは二歳になる土佐犬の「剛」と称する一頭だけである。

中野正剛「愛犬家訪問記」より 昭和9年


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