ニューファンドランド
使役犬・水難救助犬としてのニューファンドランドの能力は、我が国でも明治時代から知られていました。 明治35年の「犬の博覧会」、明治43年の「犬の話」などにも、この犬の武勇伝が載っています。 大宮季貞「感ず可き犬の實話」より 明治43年 大正時代の警察犬関係者は、警察犬を「探偵犬」「警邏犬」「水難救助犬」に分類していました。...
View Article沙河会戦 従軍記者 明治37年
十月卅日 支那の民舎、便所の設けなく、我等をして大に辟易せしむ。 寒天野田に臀を曝し日光に對して屈むなど、きまりの悪さ加減一方ならず。 これでは堪らぬ故、早速戸を集め、戸棚を以てし漸くにして便所なる。 十月卅一日 暁發獨り紅寶山に登りて戦況を遠望す。 彼我の砲弾發又發、其光景言ふべからず。 ノートを収め帰途につく。一里余にして満洲犬の包囲に遇ふ。...
View Article日本魂犬
昭和9年の広告より 昭和初期からようやく始まった日本犬保存運動は、滅びかけていた日本在来犬種をギリギリで救うことに成功しました。 消えゆく日本犬を復活させるため、日本犬愛好家たちは利用できるもの全てを使います。 当時華やかだった国粋主義もそのひとつ。 狆に続く「国犬」として、日本犬には大和魂が押付けられたのです。 それをひとつの手段と割り切っていた人もいれば、頭から信じ込んでいた人もいました。...
View Articleマルチーズ
昭和9年の広告より 日本でも「マルチーズ・テリア」と呼ばれていた時期があったんですねー。 ◆ トーイ・ヴラエチイーの内では最も古い犬種に属するものであり、我國でも可なり早くから愛育されて居た。 それが怎うしたことか、近来急に影を潜めて、街頭などでは殆ど見受けることが出来ず、僅に二三の共進會で数頭を見掛ける位になつて了つた。...
View Article無能と罵る人々へ・大正の警察犬より
日本警察犬の父といえるのが、警視庁の荻原澤治警部 。 大正初期から彼が運用していた警察犬達は、周囲の無理解と過剰な期待への反動から「探偵犬無能」と罵られます。 そして大正8年、警視廳初の直轄警察犬制度は廃止されてしまいました。 現代の日本畜犬史でも、警察犬の知識すらなかった時代の偏狭な新聞報道を根拠に「戦前の警察犬は役立たずだった」などとする批判が見られます。...
View Article犬の謄本
問 拙犬、今度軍用犬候補の試験をパスしたのですが、その手続きの為區役所に出頭致しました所、謄本を提出せよとの事でした。 謄本とは如何なるものですか。お尋ね致します。 尚區の吏員も判つきり知らない様でした。 東京 M・N生 答 御問合せの軍用犬候補合格犬の謄本と云ふのは、人間の戸籍謄本の様な意味ではありません。 此の場合の謄本と云ふのは、軍用犬候補合格證明書の写しと云ふ意味です。...
View Article営農犬
戦時下の燃料不足を理由に「農作物の輸送に荷役犬を活用しよう」と提唱されたことがありました。 その資料を探しているのですが、何處へ行ったか見当たりません。 取敢えずソレっぽいお話で誤魔化しておきます。 ◆ 僕の近所に青物市場が未明から晝近くまで立つ。 こゝには付近の農家が自分の畑から生産したものを運んで来て大変安く売るので人出は中々多く繁昌して居る。...
View Article2013年6月度月報
私の悩みは物覚えが悪い事。 忘れっぽいと仕事上でも差し障りがありますし、このブログで使う史料を探し出すのもひと苦労です。 脳ミソのメモリは増設できないので、低スペックの人生を歩むしかありません。 そういえば自分が覚えている一番古い光景は何だろう? アレでもないコレでもないとうんうん唸りながら辿りついた映像は、バケツの中で泳いでいる二匹のナマズ。...
View Article美味かんべえな
浮世の波をよそにして山里は昔ながらの松風の声につつまれて居ます。 千禄先生、私は雉子の初猟記を拝見して日本中何處へ行つても同じ階級の人の多いのを今更に感じました。 忠實な私達の同伴者のために一しほ気の毒に存じました。 私達は毎日犬に石をあてられたり門の扉へ石を投げつけられたり、朝に晩に怒らなければならぬ事が相変らず多いのでございます。...
View Article戦争後期の駄犬駆逐論争
二月二十三日、毎日夕刊「建設」欄に出た「犬と人間」の投書は私も読みました。 欄は建設だが論は破壊ですね。 日本人は概して聡明ですが、それでも一億もの中に愚物や馬鹿が相當あるのは免れますまい。 貴下の御書面中、私に一矢を酬いて貰いたいとありますが、夫れは貴下の御慫応がなくとも、ムズムズしてしやうがないのが私の性分です。 しかしこれを反駁して果して利ありや否や疑問です。...
View Article大正天皇
福原君(福原八郎鐘紡重役・南米拓殖社長)は、思ひ出したやうに、これ亦同郷人である岳父の令姪の夫君、故横地長幹将軍が名犬二頭を曾て大正天皇がまだ皇太子でゐらせられた時、御献上申上げた美しい物語を語り始めた。 これには私も非常な興味と感銘を覚えて「そげんか有益な話ばナシもつて早く俺に話して呉れんぢやつたか(意訳:そのように有益な話を何故もっと早く私に話してくれなかったのですか?)」と私は同君に言つた。...
View Article吾輩は犬である
吾輩は犬である。 〇出征しては― 忠勇なる軍犬と成り、吾輩一流の聴覚を以て方向を探知する。優れた嗅覚を以て、地雷や他の危険物を嗅ぎ出して戦友を死地から救ふ。 〇銃後に在つては― 倉庫、工場、主家の番をする。吾輩は最も忠實なる番人であるよ。 〇又吾輩はお子サン方の良き遊び相手でもあり、御主人の散歩や運動のお供もする。...
View Article渋谷行きのバス
毎週土曜日三光坂下から渋谷行のバスに乗る。 田町渋谷驛間を往復するバス丈がどうやら乗客を人間扱ひにしてゐる。 このバスに限りて始発から終點まで立通しのことは絶無だ。 九月十一日例刻、このバスに便乗して渋谷に行つた。 終點の少し手前の並木橋停留所を発車してから間もなく、バスは停まる筈の場所でない所にピツタリ立停つた。 乗客は皆この不時着に淡い不審を抱いたかの如くであつた。...
View Articleクロ公(軍犬)
生年月日 不明 犬種 シェパード 性別 不明 戦線で活躍する無言の勇士「忠犬クロ公」からの戦地便りが一日朝、飼主の堺市大谷章次氏に寄せられ感激を生んでゐる―。...
View Article破局の前触れ
この頃よく頸輪をはづした立派な大小の犬共を路傍で散見する。 これは言はずと知れた廃犬群だ。 筆者はこれ等の可憐な犬に出會ふごとに廃犬する心の持主の人間性を打診して、その犬を憐むよりも反つて其人をあはれむを常とする。 「人間でも米が足りぬ時節に犬まで」と無慈悲な廃犬者共はほざくであらうが、一度びこれを養つた以上は仮令區町村の戸籍にこそ載つてゐなくても、事實、立派なる家族の一員ではないか。...
View Articleティー(猟犬)
生年月日 不明 犬種 イングリッシュポインター 性別 不明 暫らく獲物らしい獲物に出くわさぬから、今日は鳩の一羽でも、秧鶏(クイナ)の半分(尤も半分ではゲームの数に入らぬかも知れませんがね)でもいゝ、久し振りに家族の手前天狗の鼻でも延長しておかうといふわけで、猟期もあと一と月足らずといふ此日午後、ワン公を引き出す。 道々とある池の堤防を通ふとすると、中程で犬がポイントした。...
View Article吉田隆
吉田氏と等子夫人の愛犬たち。昭和13年 夫君(外務省アメリカ第三課勤務)は、目下上海方面に出征中。 夫人は愛嬢と十数頭の愛犬陣に銃後の護りも堅く、夫君への日々の通信も愛犬の動静が大半を埋めるとのことです。 夫君又大の愛犬家で、犬の消息をもつと詳しく知らせろとのことに、かくの通り慰問袋に送ることゝなつた。
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