先月、谷口ジロー先生がお亡くなりに……。
私は谷口作品の真面目な読者ではなく、「孤独のグルメ」を知ったのも、コラ画像(五郎がシャーリーにアームロックをかけているやつ)が出回ってからでした。
初めて買った作品集は、モチロン「犬を飼う」。新聞の書評で絶賛されているのを見て、「あの原獣事典の人か」とバイト帰りに神保町で購入したことを覚えています。
感想はというと、意外に淡々としたものだったような。犬猫の死を描いた作品は数あれど、所詮は他人事ゆえ涙腺がゆるみにくいのです。
私が体験したペットの死とは、涙や感動ではなく後悔や喪失感に苛まれることでした。
それゆえペットロス作品で深く共感できたのは、「クルやお前か」の最後の一文であり、「続・星守る犬」の奥津の懺悔であったりするワケで
「ノラや」や「星守る犬」といった前編部分に関しては、ベソベソ泣き暮らす百閒先生や破滅へ走り続けるおとうさんにドン引きしただけ。
「犬を飼う」は、再び訪れる愛犬との別離を覚悟させられた一冊でした。
その覚悟が辛くて読み返せなかったのですが、「せめて追悼のつもりで……」と書庫を探したところ、度重なる本雪崩でどこへ埋まったものやら行方不明。
しかたないので、「超戦闘犬ブランカ」を殺伐とした気分で読み返しております。