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11月3日の犬たち

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犬 

 

NSK第一回の試みとも使役犬シエパードの如何なる程度の作業使役に耐えらるかの目的を研究する爲め、既にSV獨逸に於て實行し、相當の成績を挙げて居る耐久テストなるものを擧行致し度く存じます。

就ては本犬を御飼育になる皆様の御参加も期待致します。

「耐久力テスト」

期日 昭和八年十一月三日(明治節)

神戸―大阪間(約四十キロ米) トロツテング

尚、詳細の規約其他は追て發表致します。

日本シェパード犬研究会

 

十一月三日、上野動物園前廣場に日本犬保存會主催の第二回日本犬展覧會を開催、詳細は板垣博士が別項に述べられたが、折柄の好晴に恵まれて人出多く、殊に家族連れの婦人子供の多いのは愛犬の趣味が一層家庭的に普及した証左として力強い限りであつた。
一般審査犬のほかに、渋谷驛の忠犬ハチ公も來賓格で招待され、その他日本犬(協會)付属訓練場の種牡五頭、。前年の推奨犬二頭、板垣博士や齋藤、田山、塩原氏等審査員の愛犬も陳列され、一般観衆に多大の感興を與へて夕刻閉會した。
なほ同夜銀座菊正ビルに開いた懇親會は久々で上京した地方會員も加つて出席者四十餘名に上つた。
昭和8年

 

一、お愛犬の名と種類別
十一月三日愛犬三世號、ヒラリヤで死亡致し候。
二、お飼いになつた動機
闘犬はすべての犬より自分に近く心に働きかけられたのが動機也。
三、一番お好きな犬種名
犬は總て好む。闘犬は世界第一の立派な犬なる故に愛好す。犬の訓練に誤解せぬことを望む。
適せぬ、好まぬ訓練は犬を劣悪にする。

橋本八百二 昭和9年

 

昭和八年十一月三日、私の飼犬リツチ號が突然斃死した。
剖検の結果、胸部後大動脉壁並其の附近食道壁に大豆大乃至鶏卵大の食道蟲結節を形成し、其の中の一つが血管壁を破壊したために胸腔内に大出血を來して斃死した事が判明した(局所の病変部は今尚獣疫研究所に保存してゐる)。
其の症状の大要を記して見やう。

リツチ號は牡、二年六ヶ月、銀灰色、體高五七糎、體長五八.五糎、胸囲六三糎、生來怯懦にして栄養不十分であつたが、漸次怯懦性は除去せられたが、被毛の光澤不良にして栄養の恢復は充分ではなかつた。
食慾は不定にして往々残食したが、嘔吐は特に認めなかつた。各種の検査法を試みたが、別に寄生蟲卵も認めず、其他臓器に異常症状を認めなかつたので、只少しく過敏に失するがために栄養が充分でないのではなからうかと思つて居た。
然るに十月二十日頃より一層元気衰へ、食餌も目立ちて不定になり、運動を好まず、時によると終日犬舎内に蟄居して居ることがあると云ふので、十一月一日、旅行先から帰つて、早速診断したが、却々其の病状をつきとめることが出來なかつた。
十一月二日、早朝再度健康診断を行ひたるに體温卅七、五度、呼吸廿一、脈搏四五にして、脉膊僅に充實せず、不整の感ありしも心臓機能には特別の変状を認めないが、結膜は成可貧血して居つた。
元気は乏しく、呼吸に應ぜず、兎もすれば舎内に潜入横臥し、不安の状を示して居る。
牛乳一合、鶏卵二箇を與へしに良く採食し、更に要求するを以て、牛肉と鶏卵を混合して與へたるにスープ及鶏卵は食するも、牛肉は全然食せず。
因て消化剤を投與し運動を中止したるも、終日犬舎内に横臥し夕方よりは軽度の呻吟を呈するに至つた。
十一月三日午前五時、呻吟の度増加せるを以て検診するに、體温三八、一度、脉膊四七、結膜僅に充血し、呼吸促迫にして、浅く胸部其他に触るれば叫鳴し、特に季肋部の疼痛を訴ふ。
食餌全廃、元氣全く亡失し、起立不能となり、精検せるも診断不能に終る。
斯し午前十一時過、僅に苦悶し遂に斃死するに至る。

即ち上述の如くにして、其の症状は極めて不明瞭で、結局解剖する迄は其の病名が判明しなかつたのである。
食道蟲症は由來満洲に多く、内地では比較的少い疾病であつて、而もS犬に於て其の發生例を多く見なかつたのが、一つは診断不明に終らせた原因もあらうが、兎に角診断容易ならざる疾病である。
然しながら事實は現地満洲に多い疾病であり、而も私の貧弱なる體験を以てしても、既に二例の動脉破裂を見たのであつて、軽視すべからざる疾病であると思ふのである。
吾々は今後本病の診断治療には、一層研究して行かねばならぬものと思ふ。

本蟲症の豫後は不定である。只単に食道壁のみに限局して、而も大結節を形成しない場合は、経過遅延するも豫後は不良ではない。
然し血管壁を侵す場合は前述の如く豫後不良にして而も経過は速かである。
前述の如く本蟲症の臨床症状も明瞭を缺く関係上、治療法も適當なものがない。而も蟲體其のものは結節内に占居する關係上尚更困難である。
従つて、吾々は今日の所先づ治療に苦しむ前に、本蟲の寄生を免れることに努むるの要がある。

食道蟲は小野氏の研究によれば、糞喰蟲(バフンコロガシ)と言ふ一種の甲蟲が中間宿主であると謂ふ(夏季野外に出て見ると、馬糞の周囲に多くの此の蟲が集つて蠢動するのを見る)。従つて此の中間宿主たる糞喰蟲に近づけない事が最も賢明の策である。
犬は由來好んで動物の糞を食する習性を多分に持つて居る。殊に馬糞等を食して居る様を屢々見るのである。此の際に殊に滿洲に多い糞喰蟲を同時に採食して、此のために食道蟲に感染することゝなるのである。
従つて吾々犬を飼育するものは、十分に拒食訓練を行つて、絶對に馬糞其他の拾ひ食いをさせない様にすることが必要である。

満洲軍用犬協会『犬の食道蟲症』より  陸軍獣医湯川忠一 昭和10年

 

それは十一月三日の明治節の佳き日であつた。
晴れ着をつけて式に臨んだ楠梓公學校の兒童達の間には、「トツパが戰争に行くんだ」と云ふ話が賑はつた。
「僕等の蓖麻を番してくれたトツパが、いよ〃戰争に行くから」と云つて、突破の爲に千人力を作る者。
「私達のトツパが出征するから」と云つて、千人針を拵へるものもあつたのである。
突破號出征の當日は「トツパよシツカリ働いて來いよ」と云ふ可憐な楠梓公學校の少年や少女達で、ちいさな楠梓の驛は將兵を見送る時の様に賑やかだつた。
〇月〇日〇〇部隊の精鋭と共に勇躍征途に上つた突破號は、〇〇に上陸と同時に石井賢上等兵が係となり、最初他犬に比較して體格の小さな此の犬は其の能力を疑はれた程であつたが、流石は仔犬時代より軍隊仕込みの犬だけあつて、どんな難コースでも必ず使命を果して非常に望みをかけられた。
暖かい臺湾の南端から急に寒い戰場へ来た突破の體を案じて、石井上等兵は任務のない夜など互に相擁して塹壕内に露営の夢を結び、犬は冷たい星夜にも遠い故郷楠梓を思ひ出して働きの鈍る様なことは全くなかつた。
が時々文恵さんから突破係の石井上等兵に送られる乙女心に愛犬の身を案ずる優しい手紙を、石井上等兵は傍らの突破に「オイ!トツパ。またお前の大好きな文恵さんから手紙が來たぞ」と言ひながら其の鼻先につきつけると、犬は鋭い嗅覚で遠い故里の懐しい主人の香を感知するかの様に、突破には喜びの色が窺はれたと云ふことである。
其の年も暮れ、櫻咲く母國の春を外に明け暮れ、戰塵にまみれて奮闘する兵士達の塹壕にも何時の間にか緑の初夏が訪れ、踏みにじられた新戰場の草木にも新緑の香が漂ふ様になつた。
無敵高橋部隊の軍犬班も部隊と共に転戦すること一年近くにも及び、其の間重要なる傳令の任務は軍犬達に幾度與へられたか知れない程であつた。

宮本佐市『臺湾犬界美談』より 昭和13年

 

十一月三日、既報の通り東京ワイヤー倶楽部が今春以來、全然活動しないので同關西支部が殆んど獨立の意氣で大阪南海高島屋ゝ上で第一回特別大展覧會と銘打つて開催した。 出陳犬三十餘頭、審査は渡邊直治郎、西口源三郎、木下博光、林茂、藤田義一諸氏の合議で行つたが、久々の可愛いらしいワイヤー展に観衆は大喜びであつた。 

昭和14年

 

 

 

帝國ノ犬達-基本訓練


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